日本のプロのボクサーは、年齢制限がある。
ライセンスという資格を持っていなければ、リングに上がれない。
プロテストは17歳から受ける事ができ、そして、37歳の誕生日で引退になる。
今は、少し条件が改正されて、世界クラスのチャンピオンになると
37歳を過ぎても、リングに上がれるようになっている。
しかし、ほとんどのボクサーが30歳を前にリングを去っていく。
日本では、17歳でデビューする選手は少ない。
アマチュアでやっているか、中卒くらいで喧嘩暮らしをしてたか、
いわゆるエリート教育かの少数派だ。
たいていの人は、22~26歳でデビューする。
30歳で「年取ってる」と言われるこの世界では、遅咲きになる。
社会人になってからデビューするボクサーが多いのが現状だ。
私が最初にボクシングを観にいったのは、いわゆる
「チケット余ってるからお付き合い」という、ご招待の観戦だった。
しかし私は、はまってしまった。
今思うと、4回戦ボーイばかりの試合だったが、第一試合から面白かった。
赤コーナーも青コーナーも、デビュー戦同士。
赤は、29歳、青は19歳だった。
赤コーナーの応援は、いわゆる社会人チームで
「パパ頑張って~」なんて、子供の声援も聞こえる。
青コーナーの応援は、その当時のいわゆるチーマーで、
「殺せ~!」なんて、物騒な怒声が聞こえる。
試合ぶりも、背景の応援団どおり、打たせないキレイなボクシングと、
コブシでもぎ取る喧嘩ボクシングの対決だった。
試合結果は、判定で引き分け、ドロー。
それでも私は、「こんなに年齢や背景やスタイルの違うもの同士が、
ゴングで殴りあい、結果を出すなんて・・・面白い!」と、魅了されてしまった。
後の試合も、それぞれに見所があって面白かった。
それから、何千試合みただろうか。
今では、その当時見たボクサーはほとんど姿を見せない。
色んな事情で、リングを降りたのだろう。
穏やかにできるスポーツではないからだ。
それでも、ボクシングを観始めて分かった事なのだが、
健康管理、安全管理は周りの責任だったのだ。
ボクシングでは、必ずドクターがついている。
試合の終わった後も、検査を受ける。
そして、レフリーは試合を早めに止める。
「まだできる!」と騒ぐ選手もいるが、「止めて正解」の試合がほとんどだ。
むしろ、もっと早く止めていい試合がいっぱいある。
そういう時、私は「止めろ!」と騒ぐ。
また、KOされた選手や負傷した選手は、一定期間リングに上がれない。
それから、試合数の多くなった選手は、ジムの責任で検査をしなければならない。
それでも、命を落とす選手がいる。
パンチドランカーになる選手もいる。
やはり、最初に書いたように、30歳位で辞めるのがいいかもしれない。
私も、ある意味パンチドランカーなのだが、気力体力が衰えても、
命を落とす危険がないので、舞台は続けている。
キッチンドリンカーとしては・・・命を落とす危険が無きにしも非ずだが・・・。
「みなぞうは、他のものと比べると大きさがわかるじょ~!」