「ウ~ん、心晴れ晴れだじょ~!今日の天気みたいだじょ~!」
スセリは気分がいいらしい。
昨日、国立演芸場でEさん司会の催しがあり、
楽屋でEさんと沢山お話が出来たのだ。
一気に色んな悩みを解決できたらしい。
「悩み事の道筋を全部教えてくれるじょ~。
この何週間か、ため息ついてた事が、なくなってしまったじょ~。
宗教みたいだじょ~」
Eさんは、『これはおかしい』『これはほっときなさい』『これはやりなさい』と、
次々理由つきで判断してくださる。
スセリが『でもこれは・・・』と意見を言うと、『そんな事してる場合じゃありません』
と、またまた、世の中の事含めて教えてくださるのだ。
「質問した事には全部答えてくれるし、
『これは言わないでおこう』と思ったことも、お見通しで、
逆に質問してくださるんだじょ~」
スセリは体育会系のオタクなので、単細胞にして行きつ戻りつウジウジしている。
Eさんは、判断が早いのと、本音がぶれないので明快なのだ。
迷って動けなくなってる時に、ありがたい存在だ。
「いくつかの頼まれ事もして、嬉しかったじょ。
『意味分かるよね』って言われて『はい』って言えて幸せだったじょ。
今の私に合った、ハードルもあげてくれるじょ~」
やっぱり、宗教だ・・・。
信者は迷いがないので、思う存分猪突できる。
スセリも猪突するだろう・・・。
「悩みが解決できたので、遊びにいきたいじょ~。
心に引っかかる事があると、遊んでても根暗が出てきてしまうんだじょ~。
天気もいいし、昼間から飲みに行くか~って・・・まだ、九時だったじょ~!
いくらなんでも、こんな時間からは飲みにいけないじょ~!
あっはははははは~!」
躁の波が訪れてるようだ・・・。
「天下が取れるような気がするじょ~!
いひひひひひひ~!」
悩みの重石がなくなって、おかしくなっているようだ・・・。
「地球は私のために回っているような気がするじょ~!
うふふふふふふ~!」
行けるとこまで昇っていきそうだ・・・。
「宇宙は私のために創られたような気がするじょ~!
えへへへへへへ~!」
そろそろピークを迎えそうだ・・・。
「私は万物の神のような気が・・・あ・・・痛い・・・キーボード打つ指が痛い・・・。
左の指先・・・そっか・・・ギターの練習・・・しなくっちゃ・・・。
何時までもヘタクソで・・・恥ずかしいもの・・・」
制御装置が働いたようだ・・・。
ヒューズが飛ばないように、サーモタットになっているのだ・・・。
「明日の台本も書かなくちゃ・・・。
イ、イラストも手を付けないと・・・。
ギターだけじゃなくて、新曲も作らなくちゃ・・・。
Eさんの舞台に、電話のコントで殴りこみもしなければいけないし・・・。
5月の台本はお芝居の台本だから時間かかるし・・・」
謙虚にコツコツね。
「はい、かしこまりました・・・。
悩みは消えたので、迷うことなく、一つ一つ、
誠意を持って片付けて参ります・・・。
鋭意努力いたす所存でございます・・・」
そこはかとなくフザケを感じるが、今日も頑張るつもりらしい。
それにしても、スセリは本当に昔から指導者に恵まれている。
ありがたいことだ・・・。
舞台も音楽も、いいアドバイスを下さる方に恵まれて・・・・恋愛か・・・駄目なのは・・・。
「そんなものは、妄想で十分だじょ~!
私、今、彼氏5人もいるんだじょ~!
幸せだじょ~!」
し、幸せなのか・・・それが・・・。
生活の知恵・・・でしょうか・・・。
「さあ~、今日も頑張るじょ~!!!」
・・・い、いいのか・・・これで・・・うん、うん・・・いいんだな・・・。
(フェイドアウト・・・)
「国立演芸場だじょ~。色とりどりの座布団は、大喜利用だじょ~!」
スセリは、寄席で働いていたので、こんな事が嬉しいのだ。
「生で、円生師匠の高座観てるし、談志師匠の追っかけもやってたんだじょ~」
ずっと、お客さんでいればよかったね・・・。
「・・・それは言えるじょ~!」