スセリは、週末の5、6の土日に実家に帰ろうと思っていた。
ライブの前だが、今年は、自分が病気になって寝込むことが多かったので、
実家に帰る日にちが少なかったからだ。
「向こうではギター弾いても迷惑かからないじょ~」
「ギター弾くと、あんな音でも甥っ子姪っ子喜んでくれるじょ~」
「お母さんの誕生日とお雛様のお祝いもするじょ~」
スセリは以前から、その日に帰る事を、実家の母に告げてあったのだが、
確認の為に電話すると、甥っ子がインフルエンザで寝込んでいるらしい。
40度の熱が出たそうだ。
「可哀想だじょ~」
「苦しんだんだじょ~」
「頭なでてあげたいじょ~」
スセリはジタバタしていた。
しかし、歌のライブが控えてる身で、空気感染のインフルエンザの家に、
帰る訳にはいかない。
母に、何か送るから、甥っ子に食べたいものを聞いてくれるように頼んだ。
「リクエストはやっぱり、スイカとメロンだじょ~」
「帰れないときに何回か送ったから、覚えていたんだじょ~」
「季節はずれだけど、探して送るじょ~」
早速、買い物に行ってスイカとメロンを手に入れた。
案の定、高値ではあるが、近所のスーパーで売っていた。
「何でも簡単に手に入るじょ・・・」
いいことか悪い事か分からない。
しかし、スセリは、小さい身体で病気と闘ってる甥っ子の慰めになればと思っている。
「今送れば、明日の午前中に届くんだじょ~」
「本当に、便利だじょ~」
「居ながらにして、色々できるじょ~」
そんな事を言いながら「届けた方が早い」「顔も見れるし」
「お母さんも大変だから、料理のストック作ってあげたい」と思っているスセリなのだ。
「今日、夜、仕事があるんだじょ~」
「だけど、行って帰って、向こうに3時間くらい居れば、買い物や、
料理の作りだめもできるじょ~」
「でも、それでうつったら、プロとして無責任だじょ~」
スセリの個人主義をぐらつかせるのは、家族なのだ・・・。
「結婚してなくて良かったじょ~」
「家族でこんなに悩むなら、結婚してたら毎日大騒ぎだじょ~」
「独身で幸せだじょ~」
そ、そんな、無理やりのオチか~!
「心を鬼にするじょ~」