「へいへ~い、びっくりしたぜ~。買い物に行ったら、
お金がなくてレジで返品したぜ~。恥ずかしかったぜ~!」
スセリは、体調不良を押して買い物に行った。
会計をしようとしたら、お財布に1000円しか入っていなかったのだ。
出歩かなかったので、銀行でおろしてなかったのだ。
「家に戻って、貯金箱から取ってきたり、コンビニで下ろすことも考えたけど、
具合悪かったから、一歩も余分に歩きたくなかったんだぜ~」
今は、コンビニで下ろせるからいいけれど、20年位前はそうは行かず、
福岡まで500円しか持たずに行ったことがある。
その後も、提携銀行が見つからず、そのまま仕事をして、
帰りの空港で、人からお金を借りて明太子を買ったことを覚えてる。
「どうすんだ~い?バナナと牛乳と豆腐とヤクルトは買えたけど、
無塩バターと生クリーム買えなかったぜ~」
こんなに具合が悪いのに、スセリはバレンタインデー用に
チョコレートを作ろうと思っているらしい。
「調子のいい時見計らえば、作れるんじゃないかなぁ~?」
「買ったのじゃ味気ないし・・・」
「チョコの元とラッピングは、もう買ってあるんだし、無駄になるじゃない・・・」
1時間台所で立っていられる自信があるならいいけど・・・。
今、やっと椅子に座れるようになったばかりなのに・・・。
「でもね、生チョコは1日置かないと味が落ち着かないからね・・・」
「せっかくのバレンタインだから・・・」
そういえば、この間、新人の漫才コンビWと焼肉デートしたあと、
「チョコレートを買ってあげるよ」という事になって、どんなのが欲しいか聞いてみた。
K君は「僕は小さくてもいいから、本当に美味しいチョコが一つ欲しいです。
相方は量ですから、安くても大きいのをお願いします」との事だった。
そこで『質と量』をテーマに、K君には伊勢丹でゴディバの2ヶで1200円のチョコを、
相方のW君には三平ストアーで安売りのチョコを1200円分買ってプレゼントした。
キレイな袋に入った軽いチョコと、敗れかけたスーパーの袋に入った大量のチョコを
前にして、3人で笑った。
「値段って、買う人の価値観だね」私が言うと、二人は「ホント、笑いますね」と言っていた。
花園神社にお参りしたり、昼間のゴールデン街を探検したりしながら
楽しいひと時を過ごした。
「今は素直で可愛いこの二人も、プロの世界に入って、違ってくるんだろうな」と、
思いつつ「入ったからには成功して欲しい」と思う親心であった。
何年か後に会うこともあるだろうけど、その時、どんな風になってるんだろうと、
しみじみした。
バレンタインの度にこのコンビのことを思い出すかもしれない。
「しみじみしてないで、チョコだよチョコ~」
今は、まだ、無理です!
しっかり養生なさ~い!
「へいへい・・・」
喉元過ぎれば熱さ忘れるってこの女のことだ・・・。
「まだ、喉元過ぎてませんから・・・忘れてません」
お大事に・・・ね!
本家と記念撮影です。