スセリは、サンタを小学校4年生まで信じていた。そして、二つ年下の弟は2年生まで信じていた。
小学校4年生の時、スセリは『開けてはいけない戸棚』を開けて、クリスマスプレゼントを発見したのだ。
「が、額縁・・・。サンタさんにお願いしたのが、何故ここに・・・」スセリはそこで、サンタさんがいないことに気がついたのだ。小学校4年にもなれば、ちょっと考えれば分かりそうなものだが、スセリの両親はとても、話を作るのが上手だったのだ。
「サンタなんかいるわけない」「一人で世界中の子供の家なんか回りきれるわけない」「うちには煙突がない」と、スセリが理路整然と言っても、
「だけど、うちは、お父さんとお母さんが連絡を手紙で取ってるからくるんだ」とか、「他所の子のうちには行かないから、代わりにお父さんがあげたりしてるんだよ」とか、「ベランダから入って来るんだよ」とか言って、スセリはまんまと4年生まで信じていたのだ。
なぜ、スセリは4年生で二つ下の弟は2年生かというと「サンタがいない!」と分かって直ぐ、弟に教えたからだ。弟は「ウソだ~!サンタさんはいるんだ~」と泣いていたが、スセリはプレゼントを見せて説明した。スセリは残酷だった・・・。
両親は、とにかく、話を作るのが上手なので、スセリは結構とんでもないことを信じていて、大人になってから随分びっくりされたことが多い。
「夜、口笛を吹くと蛇が来る」という類のものがほとんどだが、車で走りながら室内灯をつけた人に「警察に捕まりますよ」と言って笑われたのは25歳の時だった・・・。
今でも、信じている最大のお話は「スセリちゃんの名前は、お姫様の名前から頂いたから、きっと王子様が迎えに来るよ」というものだ。
44歳になった今でも、白馬の王子様が迎えに来ると信じている。
このままだと王子様より、お迎えの方が先に来てしまうかもしれないが・・・。
この間、夜中にヒヅメの音がするので、あわてて飛び出たら、「は、白馬が~」
白馬が私の家の周りを回っていた。
「王子様だわ・・・」と、白馬を見ると空馬だった・・・。
王子様はどこかで落馬したらしい・・・。
この話を、姪っ子にしたら「スーちゃんの王子様、怪我したかもね・・・」と、涙ぐんでいた。
「たまらんなぁ~」「しあわせ~」「快感~」
スセリは両親のふざけ話のDNAをしっかりダブルで受け継いでいるようだ・・・。
しかし、弟は、その話を聞きながら、嫌そ~うな目で、スセリを見ていた。
幼い頃、馬鹿姉に「橋の下で拾ってきた」と言われて泣いた話を、今でも酔っ払うと言っている。「俺の娘に・・・」ってな目で見ているけど仕方がない。
「こういう大人の洗礼を受けつつ、大きくなっていくんだよ」
とはいえ、スセリを育てた母とスセリのダブルパンチでは、姪っ子もどんな子になるのやら・・・。今は、スセリのよき遊び相手だが・・・。
姪っ子です・・・。